合同会社WhyKumanoさまは、世界遺産・熊野古道エリアの観光拠点である和歌山県那智勝浦町にて、ゲストハウス・ホテル・一棟貸切宿などの宿泊施設を計8施設運営されています。2024年5月から現在まで当社のDMS検証にご協力いただいています。検証の現状について代表の後呂さまにお話を伺いました。
■導入目的 ・宿泊施設管理の効率化 ・スタッフ不足への対策 ・運営負担の削減 ■成果 ・「販売・予約管理」と「チェックイン対応」の効率化 ・フロントスタッフを増員することなく施設数を3 施設から 8 施設へ拡大
1. 導入の背景・目的
宿泊DX推進を始めたきっかけよ目的は?
当社は熊野エリアでアルベルゴ・ディフーゾ(地域分散型ホテル)の実現を目標に事業を展開しています。現在は町内の複数の空き家を改修し、宿泊施設を街中に増やしています。このタイミングで宿泊 DX に取り組み、① 宿泊施設管理の効率化、② スタッフ不足への対策、③ 運営負担の削減を図ることが目的でした。 当初はゲストハウス 1 軒、ホテル 1 軒、一棟貸切宿 1 軒の計 3 施設を運営しており、管理・運営にはオンライン旅行予約サイト(OTAs)とLINE、 Google Workspace のみ利用していました。 コロナ禍では補助金を活用し、収束後の需要回復を見据えて新たに宿泊施設を2棟準備していました。しかし、コロナ収束後に 5 施設体制で運営することを想定すると、予約メールを手動で帳簿に入力し、料金・在庫・部屋状況を OTA ごとに個別調整・確認するなどの従来の運営方法では限界がありました。 さらに地方という土地柄ゆえ人材採用が難しく、複雑な運営方法に依存したままではスタッフの離職や人手不足が発生した際、大きなリスクになると感じていました。 万一スタッフ不足に直面しても事業を継続できるよう、DX による仕組み化を模索していたところ、知人の紹介で OYKOT と出会いました。OYKOT もアルベルゴ・ディフーゾの実現を目指し宿泊 DX (DMS)の開発中で、これが実現すれば当社の抱えている課題も解決できると思いぜひ一緒に検証したいと考えました。
2. 施策・活用方法
具体的にどのように活用していますか?
既存のサービスを組み合わせて導入し、次の業務のDXに取り組んでいます。
- 販売・予約管理(OTA販売・レベニューマネジメント・在庫管理・部屋割り・売上管理)
- 施設管理(客室状況の把握・シフト作成・清掃の品質管理)
- ゲスト対応(予約対応・問い合わせ対応・チェックイン・事前決済)
販売・予約管理では既存サイトコントローラー(PMS機能つき)を導入し、チェックイン、ゲスト対応、チェックアウト後の清掃まで、一連の業務を一元管理して効率化しました。 サイトコントローラーを導入したことで、Airbnb、Booking.com、楽天トラベルなど複数のOTA を一括管理できるようになりました。ダブルブッキングや人的ミスの心配がなくなったため、OTA の数を増やし、宿泊予約を受け付けられるようになりました。料金も一括設定できるため、需給に応じたダイナミックプライシングの設定工数を大幅に削減できています。 予約管理においても、在庫管理や部屋割りを一画面で確認できるため、関連業務の工数が削減できています。
また、従来フロントスタッフが担当していた売上管理も、以前は各OTA から売上データを抽出してスプレッドシートに転記していましたが、現在は PMS の機能により売上を一元管理できるようになり、この業務自体が不要になりました。 ゲスト対応の面では、当日予約が入ると LINE に自動通知される仕組みも導入しています。直前予約の通知をメールのみで受け取る場合、他のメールに埋もれて即時対応が難しく、ゲストとのトラブルにつながるおそれがあります。自動通知により、直前予約にも迅速に対応できるようになりました。
さらに、当初からアルベルゴ・ディフーゾの仕組みを採用していたため、チェックイン方法を駅前の 1 施設(WhyKumano Hostel & Cafe Bar)にフロント機能を集約し、チェックイン後に各施設へ移動していただくスタイルにしていました。 この場合、施設数が増えるとチェックイン対応が増加し、フロントスタッフの増員が必須となりますが、セルフチェックインサービスを導入したことで、スタッフを増やすことなく対応できる体制を整えています。宿泊客はタブレット端末で自らチェックインし、鍵番号(スマートロック用:スマートロック導入済み)を取得し、スムーズに入室していただくことができてます。 そして、これらのサービスを導入する際の最大の課題は現場オペレーションへの落とし込みでした。ここでは、OYKOT のメンバーに現場に入ってもらい、運用フローを設計したうえでスタッフへ直接共有し定着を図りました。
3. 効果・成果
具体的にどのような効果がありましたか?
最大の成果は、業務負担を大幅に軽減できたことです。特に「販売・予約管理」と「チェックイン対応」の効率化は顕著で、フロントスタッフを増員することなく現在では施設数を 3 施設から 8 施設へ拡大できました。 現在は検証段階のため現場でのシステムの使い方に改善余地はあるものの、DXシステム導入後に 8 施設まで拡大できたのは大きな成果です。さらに、一括管理によって運用できる OTA が増えた結果、稼働率が向上し、売上も以前より伸びています。
また、現場改善の範囲ではなく、既存サービスの機能面については、弊社が抱く懸念点や課題をOYKOTに共有し、宿泊 DX (DMS)開発の一助になればと考えています。その結果、弊社内の業務の一層の効率化にもつながればうれしいです。
4. 今後の展望
今後強化したい取り組みは?
まずはマネジメント業務の工数削減を目的に、シフト作成を自動化したり、問い合わせ対応の工数削減を目的に、チャットボットによる FAQ 対応を導入したいと考えています。 さらに、AI で生成した多言語動画を活用し、館内および周辺案内を自動化することで、ゲスト満足度の向上を図ります。 また、宿泊予約時の情報やチェックイン時のアンケートデータを基に、ゲストの嗜好に合わせたクーポンを発行して周辺施設へ送客する施策も検討しています。宿泊施設を“玄関口”とし、地域内周遊を促進する仕組みを整えることで、当施設だけでなく地域全体の顧客満足度向上を目指します。
WhyKumanoさまの中長期のビジョンは?
まずは熊野エリアで複数施設の運営を軌道に乗せ、地域の総合窓口としての WhyKumano の役割を強化することで、地域内周遊を促進し、アルベルゴ・ディフーゾを実現したいと考えています。そのためには、限られた地域リソースの中で施設数を増やし、情報を一元管理できる宿泊 DX が不可欠です。 将来的には、熊野エリアと同様に自然と文化が調和する他地域へ、アルベルゴ・ディフーゾの仕組みと WhyKumano ブランドを水平展開したいと考えています。
合同会社WhyKumanoさまのご紹介
社名 合同会社WhyKumano
住所 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町築地5丁目1−3 2F
設立 2019年
代表 後呂 孝哉
事業内容 宿泊施設・飲食店運営
公式サイト https://whykumano.com